桜ノ籠 -サクラノカゴ-

そして、私の隣りに、自分もあお向けに寝転がる。


「ほら、見てごらん」


青磁先生にうながされ、目の前の桜を見上げた。


「う、わぁ…」


思わず、驚きと感動の声がこぼれた。


「桜はやっぱり、下から見上げるのが一番いいな」


そう言い、微笑む、青磁先生。

 
頭上の桜ー、
見事に咲き誇り、目の前が桜色でいっぱいになる。


少しずつ、ゆっくりと、
ひとひら、ひとひら、

花びらが自分に向かって舞い落ちて来る。



幻想的、とは…こういう事なのかな、と思った。


鼓動が、聞こえる。
 
忘れていた想いが、よみがえる。


 心が、動く。





< 27 / 467 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop