桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「青磁先生!」

駆け出し、
うまく足が動かなくて、私の体は傾いた。

「伽羅ちゃん!」

後ろで茜さんの声がして、私を助けようと近づいて来るのがわかった。

でも、
私の体は吸い込まれるように床に倒れてゆく。


床に叩き付けられる衝撃を覚悟した、
その時、


ふわりと、
私の体があたたかいものに包まれた。





「…伽羅ちゃん、大丈夫か?」

優しい、声。

あたたかい、ぬくもり。




愛しい匂いが、した。




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