桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「…じゃあ、一つ私が思うことを聞いて」

茜は青磁の前にしゃがみ、同じ目線になる。


「今、伽羅ちゃんに必要なのは、青磁がそばにいることじゃない」


ゆらりと、
青磁の眼が不安と戸惑いに揺れる。


でも、茜は
ふわ、
と、微笑み、


「今伽羅ちゃんに必要なのは、青磁がちゃんと帰って来ること」


静かに、
でも、凛とした茜の声が、青磁に響く。





「そばを離れても、ちゃんと伽羅ちゃんのもとに青磁が帰ってくることだと、私は思うわ」






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