桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「だから、青磁は自分も大事にして。伽羅ちゃんが大事なら、伽羅ちゃんを想うなら…。
伽羅ちゃんが目覚めた時あんたが倒れてたら、伽羅ちゃんを信じさせることなんて、出来ないでしょう?」

震える、茜の声。


茜は、伽羅だけでなく、青磁のことも心配だった。


優しい青磁。

伽羅を想う青磁。


和季の想いを、
和季を想う伽羅の想いを知る青磁。


だから、伽羅を想うことに罪悪感を抱く青磁のことが、心配で、


何度も和季と青磁の名を呼ぶ伽羅のことを、諦めてほしくなくて、


青磁と伽羅、

壊れそうな二人の想いを、繋ぎ止めたくて、



茜の声が、

心が、




震えた。





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