桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「いい?伽羅ちゃん。生きて、今ここにいるのなら、周りをよく見て、私の言葉を聴いて」

茜さんは私の腕を引き寄せ、
ベッドに座らせた。


「今、自分の周りをよく見て」


私の、周り?


茜さんの言葉に、戸惑う。

意味が、よく分からない。



だって、
よく見ても、

青磁先生はいない。


私のそばに、いない。


「青磁先生が、いない…」


不安が、

寂しさが、


私を襲う。





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