桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「青磁は帰ってくるわ」

真っすぐに私を見て答える、茜さん。

「でも、でも!帰ってこないかもしれない!カズ兄のようにー…」

言葉にして、
苦しくなる。


過去の紅い記憶に、押しつぶされそうになる。


「青磁は、帰ってくる」

揺るがない、茜さんの凛とした声。

でも、
「でもー!」

私は知ってる。


待っていた人が、


帰ってこなかったことを。





愛しさを伝えた人が、


いなくなってしまったことをーー




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