桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「青磁が帰って来るまで、待っててあげて。そして、周りをよく見て…。伽羅ちゃんを心配している人のことを、思い出して」


周りをよく見る?


私を、
心配している、人?



茜さんの言葉に、
私は視線をあげる。


周りを見ると、

桜色のカーテンが涼しさを感じる風に揺れ、
蒼く高い空が見える。


白い机には、学校の鞄とプリントの束。

その隣りに、
あの桜色のしおり。


青磁先生に、
お守りだと、もらった、桜の葉。



そして、可愛い柄の封筒が幾つかあった。


その封筒の一つを手に取ると、
そこには、咲耶ちゃんの名。

もう一つ手に取ると、
そこには、お母さんの文字。


読んで、



涙が零れた。



さっきまでとは違う、涙。



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