桜ノ籠 -サクラノカゴ-
♦
「伽羅ちゃん、倒れたんだって?」
藤川家に帰宅した青磁が、茜の部屋を訪ねた。
「……失敗した。
学校の話なんかしたからだわ……」
茜は、パソコンで仕事の資料を作りながら、沈んで答えた。
「最近、調子良さそうだったのに……。
やっぱり、学校はしばらく無理ね」
そう呟き、茜は目を伏せる。
「長い事休んでると、余計行きづらくなるでしょう?
だから学年変わるし、春には、と思ったんだけど……」
焦り過ぎたかな……と、
茜は小さく呟いた。