桜ノ籠 -サクラノカゴ-
まだ朝の陽が届かない部屋に明かりを点け、
キッチンで珈琲を用意していると、


「おはよう、伽羅ちゃん」

私より朝が苦手な青磁先生が起きてくる。

私は、眠そうな青磁先生を見上げ、

「おはようございます、青磁先生」

声をかける。

そうすると、きまって青磁先生は私の頭をポンポンと撫でてくれる。



それが、
一日のはじまり。



愛しくて、
くすぐったい、朝。


それだけで、
今日一日、頑張れそうな気がする。



そうして、毎日を過ごした。


日に日に、
色々なことが見えて、

色々なことが考えられるように、

なってゆく。



少しずつ
少しずつだけど、



今を

明日を




前を向いて、


私は歩き出した。





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