桜ノ籠 -サクラノカゴ-
青磁先生といるとカズ兄を思い出す。
ツラくて苦しいことを思い出す。
…でも、青磁先生といると心が落ち着いて、
見えていなかった事が見えて来る。
気付かなかった事に少しだけ気付けるような気がする。
カズ兄を失った事ばかりに縛られていた私の心。
忘れていた。
カズ兄が話してくれた言葉。
カズ兄との、優しい時間。
苦しみやツラさと共に、忘れていた何かを思い出す。
きっと…それは、私が前に進むためには必要な事だと思う。
だから、
だから…
「…もっと、ちゃんとカズ兄のことを思い出したい…から…」
「辛くても?」