桜ノ籠 -サクラノカゴ-
私が青磁先生の部屋の扉の所で、答えを待っていると、
青磁先生が掌で私を呼ぶ。

訳が分からず、部屋の中に入り青磁先生の近くまで歩いていく。


青磁先生の部屋は、煙草の匂いと青磁先生の匂いがした。


と、
そんなことを考えていると、


グイッと、
青磁先生の腕に引き寄せられ、私の体はベッドの上に座る青磁先生の膝の上に転がった。


「せっ、青磁先生!?」


ドキドキと、
さっきまでとは違う音が体中に響き渡る。


目の前に、青磁先生の優しく穏やかな表情。

でも恥ずかしくて、照れて、
うまく青磁先生の顔が見れない。



「伽羅ちゃん。俺で、いいの?」

近くで、青磁先生の声がする。
恥ずかしくて、目を合わせることが出来なくて、
私はブンブンと頭を上下に動かし、うなずく事しか出来なかった。



「声で、ちゃんと答えて。伽羅ちゃんの言葉で」

囁くような、青磁先生の低い声。


そんな声を聞かされたら、私は恥ずかしくて、顔も真っ赤で、逃げ出したかったけど、

青磁先生の腕は、私を包んで、離さない。





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