桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「い、イジワル…です。青磁先生…」
もうこの状況だけで、
青磁先生の匂い、
青磁先生の声が、
近くて、クラクラする。
それでも、答えをーー…と?
「せ、青磁先生と…一緒に行きたいんです。カズ兄のところに…」
言う終わると、同時に、
ギュッ、と
青磁先生は包み込むように、私を抱きしめた。
ーーえ?
突然のことに、私の頭はパニック状態。
私は抵抗も何もできず、青磁先生の腕の中で、体が固まってしまった。
余計な力が入って、
全身緊張状態。
高鳴る鼓動が、
青磁先生に伝わるんじゃないかと、ドキドキした。
「ありがとう、伽羅ちゃん」
低い声が、囁く。
「一緒に行こうと言ってくれて、嬉しいよ」
そう言葉にする青磁先生の腕が、少し震えていた様な気がした。