桜ノ籠 -サクラノカゴ-
道路脇のコインパーキングに車が止まる。
最初はどこなのかよくわからなかったけど、
反対車線の向こうに
チラ、と視線を向ける青磁先生の視線を追うと、
そこは、
アクセサリーショップ。
オシャレだけど高級そうなお店。
その大きなガラス窓の向こう、
店内に、
あの時の、
あの夏の夕立の日に会った、
紫陽花のピアスの〝沙智さん〟が、いた。
あの日とは違う、
黒のパンツスーツ姿、
長い髪をひとつにまとめ結い上げた姿、
格好は違う雰囲気だったけど、
変わらず、
綺麗だった。