桜ノ籠 -サクラノカゴ-


ねぇ、青磁先生、
会って、何を話すんですか?


どうして、行くんですか?



店内に入った青磁先生と、
その青磁先生を見つけた〝沙智さん〟の視線が
重なった瞬間、


私は見てられなくなって、

首元に巻いていた藍色のマフラーに顔をうずめる様に、
うつむいた。



微かに、
お線香の匂いが、する。



青磁先生も、
こんな風にさっき待っていたの?




でも、

カズ兄も、
瑛李香さんも、


今の私の気持ちを、
揺らがせる事はない。




青磁先生を想う、

この気持ちは、



揺らがない。




けど、
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