桜ノ籠 -サクラノカゴ-
ふぅーと
溜め息をひとつ零し、

「まったく、しばらくこのままでいようと、そう決めたのに」


どうすんだよ、
と小さく呟き、青磁先生は私の髪に顔をうずめた。


「このまま?」

「そ、このままキスまで」


キスまで?
まで……
って、その先はーー


考えただけで、真っ赤になる。



「……せ、青磁先生は、その……。わ、私を……」


「抱きたいよ。伽羅を抱きたい。朝までずっと」


髪を、
耳をくすぐる、

青磁先生の低く艶やかな、
甘い声。



それだけで、
もう、体中が熱を帯びる。



もう、

どうしようもないほど……






< 432 / 467 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop