桜ノ籠 -サクラノカゴ-

わずかに唇を離し、
私は問いかける。


「覚悟って、誰のですか?私の?それとも、青磁先生の?」


いつもなら、
あれこれ考えて聞けないこと。


キスのその先に
不安がないと言ったら、嘘。
怖くないと言ったら、嘘。



でも、

イラついて、

どうしても聞きたくて、
その答えを、知りたくて、


「答えて」

わずかな唇と唇の間で、問いただす。


「答えて、青磁先生」


「……両方だ」


真っすぐ私を見つめる、
真剣な青磁先生の瞳。




両方?

なら、


ならーー


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