桜ノ籠 -サクラノカゴ-

「青磁さん……」

私も
嬉しくて、
嬉しくて、
青磁さんの手に私の手を重ねた。



すると、
青磁さんはその手の指を絡ませ、
私を正面に抱きかかえた。


「もう、離してやれないぞ。いいのか?伽羅」

「困らせてばかりで、ごめんなさい」


「あぁ……ホント、俺の決心があっさり伽羅の誘惑に負けてしまった」


ダメだな、俺って

そう言葉を続け、
溜め息混じりに困った様に微笑む青磁さん。



でも、

その腕は、
その眼は、

私を捕らえて離さない。





きっと、

誘惑に負けたのは、



私の方。





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