桜ノ籠 -サクラノカゴ-

私はどうしたらいいのか分からず、されるがまま、
棒の様に立ち尽くす。


そんな私の視線の端に、碧い包みが
ちょこんと、テーブルにのっていた。


私の視線の先に気付いた茜さんが、

「あぁ、これ?」
と、碧い包みをつまみあげた。


「あのダメ教師が、忘れていったのよ。お昼ご飯」

せっかく作ってやったのに、
と茜さんは溜め息をつく。

それに気付いて、つい叫んじゃった、ごめんね。
と茜さんは、謝る。



青磁先生……

青磁先生のいない時間は、寂しくて、長く感じる。


でも、

『…調子が良かったら、近くを散歩するといい。
何かいいものが見つかるかもしれないよ』


思い出す、青磁先生の言葉ーー




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