桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「……大丈夫です。きっと大丈夫、だから……」
「でも……」
「行きたいんです、お願いします。……行かせてください」
私は必死に、茜さんとおばさんに頼んだ。
「でも急に外に出るなんて……
あぁー、私もついて行けたらいいんだけど、これから仕事だしな……」
困ったように茜さんは、明るい色の髪をかき揚げた。
「あっ、お母さんと一緒なら……」
茜さんが、おばさんの方をむく。
「そうよ。今掃除終わるから、それからーー」
おばさんも、茜さんの提案に手を叩いて賛成した。
でも、
私は首を横に振った。
「一人で、行ってみたいんです」