桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「ッてー何も靴投げる事ないだろ。
しかもヒールって、どんだけコントロールいいんだよ」
あ……あの男の人の声?
「…ごめんな、伽羅ちゃん。うるさかったろ」
そう云って、縁側で横になる私の、頭の近くに腰掛けた。
「挨拶がまだだったね。俺は藤川青磁、この家の長男で、さっきの茜姉の弟。よろしく」
私と同じ様に、咲き誇る桜を眺めたまま話す。
優しく、穏やかな口調で。
今まで周りにいた人達と何かが違うと、思った。
私がこんな風になってからーー