桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「ホントは、電車に乗ってから色々考えちゃって…。
急に訪ねていいのかな、とか、
だいぶ元気になった、って書いてあるけど……」
そこまで話すと、言いにくそうに、咲耶ちゃんは言葉を濁す。
「……辛くて、苦しんでる時の、私の姿…おもいだしちゃった?」
静かに、私は、咲耶ちゃんの顔を覗き込んだ。
「…憶えてるの?私が、伽羅の家に行った時の事…」
「なんとなく、ね。ぼんやりとだけど…。
咲耶ちゃん、私見て、辛そうに、悲しそうな顔してた」
「…ごめん。私、何もしてあげられなかった……」
咲耶ちゃんの言葉に、私は、首を横に振る。