桜ノ籠 -サクラノカゴ-

「謝るのは、私の方。
…私、カズ兄のことばかりで、全然周りを見ていなかった。
見ようともしなかったーー」

「伽羅、だってそれは……」

私を見る、咲耶ちゃんの目に涙が溢れる。



「でもね、私、戻って来たよ。やっと、今そう思える…」

私は、咲耶ちゃんの両手を優しく握りしめ、



「来てくれて、ありがとう。咲耶ちゃん」


真っすぐ、言った。





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