桜ノ籠 -サクラノカゴ-

「明日から、学校に行くんだって?」


下弦の月の夜、
葉桜になった、桜の樹を見上げていると、青磁先生の声が後ろでした。



「……はい。行きます」

振り返り、私は、青磁先生を真っすぐに見た。



「いい表情だ」

そう言うと、青磁先生は、くわえていた煙草に火を点けた。



「今日、友達が来たんだって?」

「はい。咲耶ちゃんという、小学校からの大好きな友達です」





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