桜ノ籠 -サクラノカゴ-
♢
「伽羅、これ」
学校に向かう電車に乗ると、咲耶ちゃんはそう言って、私に桜色の包みを渡してくれた。
「咲耶ちゃん、これ……」
桜色の包みを受け取る。
私は中身が何か、開けなくとも分かった。
お母さんが作ってくれた、お弁当だ。
「おばさんがね、伽羅に渡して欲しいって、今朝預かって来たの」
昨日の夜、
お母さんへ久しぶりに電話した。
明日から、学校に行く。
そう伝えると、
おl母さんの堪える泣き声が、聞こえた。
お母さんの声を聞いて、
私も、泣いてしまった……