桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「ありがとう、咲耶ちゃん」
「今日から、また一緒にお弁当食べようね」
咲耶ちゃんは、私に微笑む。
「みんなも、伽羅のこと、待ってるよ」
ドクン、
「……みんな、変わらないかな?私、…ちゃんと、入れるかな?」
ドクン、と
鼓動が、不安の音を響かせる。
春になり、2年生になった。
クラスが、去年の秋とは違う。
咲耶ちゃんとも、クラスは違う。
不安になる。
制服のポケットに手を入れ、
桜の葉に触れる。
「大丈夫だよ、伽羅。伽羅なら、大丈夫」
呪文の様に繰り返される、咲耶ちゃんの言葉。
桜の葉が、青磁先生のあたたかさを、
言葉を、
想い出させてくれる。