桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「……そう、このままいけばいいけど、揺れて立ち止まる事もあれば、戻る事もあるかもしれない」
「そんな!大丈夫よ、伽羅ちゃんはっ!」
「可能性の話だよ。考えておいて、損はない。伽羅ちゃんの為にも」
「……青磁、家に、あんたマンションに戻るの?」
青磁の煙草からくゆる煙が、大きく揺れる。
「オレが、というより、伽羅ちゃんだよ。ここから伽羅ちゃんの学校は遠い。負担が大きいと思う」
「伽代さんのもとに帰すべき、と?」
「伽羅ちゃんと咲耶ちゃんの負担を考えるとね」
「…そうね、でも大丈夫かしら……。
やっと、ここに馴れたのに…。
何より、伽羅ちゃんは青磁、あんたを頼りにしてるわ」