桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「って事で、よろしくね、青磁」
近くで、茜さんの声がして、振り返る。
「待て待て、伽代さんが許すはずないだろ。男との暮らしなんて」
「男じゃなくて、あんたは教師!それにハトコ。親戚。血の繋がりあり!」
「に、してもな……」
「問題なし!
幸い学校違うから、教師と教え子じゃないし。
今、お母さんが伽代さんに電話して説明してるとこ。
青磁君にくれぐれもよろしく伝えてほしい、ってさ。
信用されてるね~、青磁先生」
あぁ~、と青磁先生は額に手をあて、夜空を仰いだ。