心を失ったカノジョ
「待って……」




私は首だけおばさんに向けた。




「あのとき、私たちの本音聞いちゃったのね」

「はい………」

「ごめんね……明日香に言われたの」

「えっ………?」

「心ちゃんが飛び出したあと「私の友達をそんな目でみるなよ」って」




明日香………そんなこと言ってくれてたの?




目頭があつくなった。それとプールの水が鼻に入ったように鼻がツーンとなった。




「またいつでも来てね?」

「はい………」

「あんなこと聞かせてごめんね」

「いえ、大丈夫です」




涙をこらえて今度こそ行こうと思った…。




だけど私の手を握る明日香の手が見えた。




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