冬の日の犬のお話
『つまりな…
こいつは捨てられたんだよ。歳をとってボロボロになっていらなくなったんだ。』


『・・・・・』


『車にひかれたわけじゃない。呼吸困難、栄養不良、意識混濁…何日も待たずにこいつはくたばる。』


『…そんな』


『これを見ろ。』


獣医は、外した首輪を真樹子に見せた。

首輪の内側の一部分が、マジックで塗りつぶされていた。


『住所か電話番号を消した跡だ。計画的犯行ってやつだ。』
< 100 / 135 >

この作品をシェア

pagetop