冬の日の犬のお話
ぐずぐずといつまでも鼻をすすっていると、獣医がコーヒーを淹れてくれた。

泣きはらした顔に、湯気がじんわりと優しかった。


『さっきは悪かったな』


獣医が静かな声で詫びた。


『たまにいるんだよ。自分がはねたくせに、他人のせいにして持ち込むんだ。で、診察してる間にトンズラしやがる…』


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