冬の日の犬のお話
『私、そんな風に見えました?』


ようやく落ち着いた真樹子は尋ねた。


『いや、そういうわけじゃないが、最近は腹の立つことが多くてな。誰でも悪い奴に見える。』


彼が不機嫌だった理由がわかった気がした。
この犬の飼い主のような人間が少なくないのだろう。


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