冬の日の犬のお話
もう8時を過ぎていた。
車の中で、置きっぱなしだった携帯が点滅を繰り返していた。


すぐかけてみたが、彼は出なかった。


真樹子は、電話が繋がらなかったことにほっとしている自分に気づいていた。


──説明できないよね…

自分でもよく理由のわからない行動を、人に説明するのは難しいし、億劫だ。


──どうせ最後のセリフは決まってる…


俺より大事なの?


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