冬の日の犬のお話
ふいに老犬が動いた。
前足を踏ん張って、頭を起こそうとして、そのままくたんとあごを落とした。


いいって
もういいって…


老犬は半分閉じかかった目で、真樹子の手をなめた。


これが答えなのだと真樹子は思った。




楽しいこともあった。
いっぱいあったと…


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