冬の日の犬のお話
言葉もならず、ただ泣き伏す弥助に、しづは静かに言うたのじゃ。


数日前の夜、しろが俄かに吠えて、どこかへ走り去った時に、もしや竹さんの身に…とは思うておりました。

私もどうやら長うは生きられぬようです。
竹さんの言いつけは果たせそうにありません。
私が死んだら、どうか
しろと一緒に葬ってください。
しろと一緒に、竹さんの所にいきます。

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