冬の日の犬のお話
言葉も出ない真樹子に、獣医は説明を続ける。

『腹がパンパンだろう?これは肥満じゃない。腹水が溜まってる。フィラリア対策を何もしてない証拠だな。おまけに…』

獣医は犬の腰に手をあてて、そっと立たせた。
犬は体を小刻みに震わながら、自分の尻尾を追うようにくるくるとその場で回りはじめた。

『回旋行動だ。寄生虫が脳までいっちまってる。』


『どういうことです?』


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