HAPPYBIRTHDAY-主役のいない誕生日-
「そんなことしても彼女さんは悲しむわよ!」




「ん……」


目を覚ますとそこは天井も、ベッドも、カーテンまでもが真っ白なところに僕は寝ていた。

病院か。
僕は、死ねなかったのか。


「でもよかったわ……命に支障はないそうよ!」

僕にさっきから話しかけている人。
それは……

「おばちゃん……?」

隣の部屋のおばちゃんだった。

「えぇ。分かる?最近全然元気がなかったからさ  しぶりに煮物をつくって持っていこうと思ったの  よ。そしたらあんたが血だらけで倒れてて…。驚いたわよ、まったく。どうせ彼女の跡を追おうとでも思ったんでしょ?」

ず……図星だ……。

「でもねぇ、いい?」

おばちゃんはふぅ、とため息をつくと

「そんな事をしても雅ちゃんは喜ばないよ。それどころか悲しむわ」

呆れた顔でそういう。



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