HAPPYBIRTHDAY-主役のいない誕生日-
あの日、君は私でよかったって言ったよね。


そんなことないんだよ。

本当に君がいなくなって生きていけれないのは……
僕の方なんだよ。


あの時、怖くて引き出しの奥にしまってしまった指輪を取り出し、手のひらに置く。

「この指輪、どうしたらいいかな? 君に渡したいんだけど……」

そう言った瞬間、僕の目から一筋の涙が零れた。

「ねぇ……」

神様がいるとしたら、本当に残酷で意地悪だ。


今日は特別な日なんだよ。

普通ならケーキ食べたり、プレゼントをもらったり、「おめでとう」って皆に言ってもらったり……




死んだ人には……

もうこの世にいない人には……



そんな小さな幸せさえも与えられないのですか――?



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