【短】歌声を君に
――…夢を見た。
僕が彼女と出逢った日の夢。
『…小鳥さん、大丈夫?』
脚に怪我を負って、道端に横たわっていた僕に そう話しかける君。
『怪我してるの…?』
人間が怖くて逃げようと、翼をバタバタさせる。
でも踏ん張るための脚を怪我している状態で、翔べるはずがない。
『怖がらなくて、いいよ? 私と一緒に怪我 治そう。』
そう微笑んだ君に、不思議と恐怖心は薄れていった。
暴れるのを止めた僕を、君は
今も変わらない手のひらで やさしく抱き上げてくれた。