【短】歌声を君に




――…夢を見た。




僕が彼女と出逢った日の夢。





『…小鳥さん、大丈夫?』




脚に怪我を負って、道端に横たわっていた僕に そう話しかける君。



『怪我してるの…?』


人間が怖くて逃げようと、翼をバタバタさせる。


でも踏ん張るための脚を怪我している状態で、翔べるはずがない。



『怖がらなくて、いいよ? 私と一緒に怪我 治そう。』


そう微笑んだ君に、不思議と恐怖心は薄れていった。



暴れるのを止めた僕を、君は
今も変わらない手のひらで やさしく抱き上げてくれた。





< 6 / 11 >

この作品をシェア

pagetop