コイアイ〜幸せ〜
もう帰ろう。

そう思って、いつもより乱暴に荷物の整理を始めた。

お気に入りのボッテガ・ヴェネタのバックも、週末の彼氏とのデートの約束も、今は私の気分を晴らしてはくれない。

向こうは、緊張感を和らげるために言った軽口なんだろうけれど、私には意地悪な人にしか見えなかった。


「山下チーフ、何かあったんですか?」


すると、横から声をかけられた。

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