コイアイ〜幸せ〜
出張中の文字を、ホワイトボードに書き込むと、勢いよく廊下に飛び出した。

むかう先は、尾田さんの経営している会社だ。


「つららさん、何処に行くんだ?」


廊下の壁に寄りかかっていた宗助に、呼び止められる。


「えっと・・・」


昨日の事があったから、なんていうか、気まずい。


「何気まずくなってんだ。恋愛ごときで、急に変われるわけないだろう。俺は腹をくくったよ、いい大人の片思いっていうのもな」


ごときって宗助、あんなキスしておいて。

でも今は、その優しさが嬉しい。


「ありがとうね、私は好きな人がいないの、今はね。そうゆうのまだ考えられなくて、だから、宗助に甘えちゃう事になるんだけど、それでもいいの?」


「まあ30点ってとこだな。俺としては、嫌われてないだけで充分だ。で、どこに行くんだ?」


あ、いつもの宗助だ。


「ちょっとね、調査調査。」


「あの人は知ってんのか?」


「それはどうでしょうか」


「おいっ」


気にしないでくれたまえ、宗助。
だって、言えるわけないじゃない、調査は調査でも、潜入調査なんですから。

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