コイアイ〜幸せ〜
ただの痴話喧嘩だよね。


そう思いたいのに、心の深いところをつつかれているような気がする。


「忙しいとかいって、あんまり連絡してなかったのは私も悪いと思ってる。だから、一番とかそんな…」


「じゃあ、俺と結婚して、今の仕事は辞められる?」


頷きかけて、身体が固まる。


彼氏は凄く大事なことをサラリと言った。


心の中にもうひとりの私が現れて、そっと私にささやいた。



――本当に、辞められるの?



「ほら、やっぱり迷ってる」


だって、人生の一大事だよ。
そんなに簡単には、決められないのに。


「仕事しながらは?」


「今の仕事は辞めてもらう。それは、俺のわがままだから」


見つめる先には、3年間付き合った彼氏の眼差し。


「今、答えなきゃいけない?」


「そう、今」


確かに結婚するにはいい歳だし、この先、誰かが現れるかなんて保証はない。



――でも。



「ごめんなさい」


小さな声を出すのがやっとだった。
そのあと、私は顔をそらしたから、彼氏がどんな顔をしていたかはわからない。


「わかった。それが、つららの答えなんだな」


うん。
今度は、素直に頷けた。
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