コイアイ〜幸せ〜
忙しい一週間だった。


「美波ちゃん、相手先のリストを確認しておいて。」


「サイトリニューアルに向けてのレイアウトは新堂君に任せるわ。出来上がったら声をかけてね、私は得意先の挨拶まわりに行ってくるから」


昼間は、今までにないんじゃないかと思う位に働いた。

そのほうが、いろんなことを考えなくてもよかったから。


今回のプロジェクトも本格的に動き出している。
立ち止まることは出来ないのだ。



恋人を失った今、私は、仕事に逃げているのかな。


ふと、心に陰がやどる。


はっ、いけないいけない。集中しなくっちゃ。






「チーフ、聞いてますか?」


「えっ、あっ、ごめん。何?」


そうだった。
今の時間は、午後7時。
企画提案の佐々木君と、一緒に外回りをしてきた帰り道だったんだ。


「珍しいですね、チーフがぼぅっとしているなんて」


「ホント、ごめんなさい。帰ったらまとめなきゃいけない資料があったなって思って」



まさか彼氏のことを考えていたなんて言えない。





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