コイアイ〜幸せ〜
「んっ・・・」


彼は時折、手を握ったままで指先を動かして、私の手の甲を撫でたり、つついたり弾いたりしている。
完全に遊ばれている。


「どうした?急に大人しくなったな」


宗助が、私の顔を覗き込んできた。


「疲れてたのかな、結構酔ってきたみたい」


私の顔、真っ赤になっていないかな。

アルコールとは別に、凄くあっついの。


「やらしい顔だな。どうしたんだ?そういう気分なのか?」


み、耳元で囁かないで。

そういう気分ってどうゆう気分なのっ!




「山下さん、顔が赤いですが酔ってしまわれたんですか?」


なにくわぬ顔で、悪魔が話しかけてきた。


おまっ、お前のセクハラのせいだっ!


なんて事は言えず、精一杯の抵抗のつもりで、悪魔の手を力一杯握り返す。


痛がりやがれ。


そう思っていたのに、彼の表情は変わることはなく、ますます私の心を逆撫でる。

しかも、握り返された。



「松本さんにそう言われると、一気に酔いが醒めました。いたんですね、そういえば」


むこうがその気なら、私だって平然としてやる。

いつまでも遊ばれてたまるか。

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