コイアイ〜幸せ〜
「私、化粧直しに行ってきます」


美波ちゃんは、うつ向き加減に席を立った。


二人の間になにがあるのかは知らないんだけど、松本さん、挑戦的な態度は良くないですってば。


「松本さんは、女の子に対して優しくないです。私も化粧を直しに行ってきます」


だから、この手を離して下さい。


「仕方がない人ですね。俺は、優しくしたい人にしか優しくはしませんよ、それは誰でもそうなのではありませんか?」


それはそうなんだけど、貴方の優しさや冷たさは、とてもわかりにくいんです。
多分、私に対しても冷たくて、時々優しい。


私にも悪魔の心なんてわからないんだから。


「松本さん、離して下さい」


思いっきり、悪魔の方を睨みつけた。

悪魔は、フゥと一つため息を洩らす。


ちょっと、その反応はなんですか。


そして、熱い炎のような感触が、ゆっくりと私から離れていく。


宗助が初めて、離れていく私たちの手を目にしていた。


そのあとの宗助の顔は知らない。

私は美波ちゃんを追いかけて、トイレまで急いだのだから。
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