コイアイ〜幸せ〜
「私はどうしても、山下秘書みたいにはなれないんです」


美波ちゃんは静かにそう言った。


そんなの当たり前だと思うよ。
だって、私は私、美波ちゃんは美波ちゃんなんだから。



彼女はいったい、何が言いたいんだろう・・・。


フワリとしたワンピースの裾を、ギュッと握り絞めながら、美波ちゃんは言葉を続ける。


「私は、・・・貴方が憎いです」




「でも、嫌いにはなれなくて、だからもっと憎い。・・・そんな私が惨めで卑しい女に思えるから、どうしたらいいのかよくわからないんです」


私、美波ちゃんに憎まれているの?

でも、どうして?


「美波ちゃん・・・」


私は、彼女のことを理解したいと思って一歩一歩近づこうとした。



「来ないで下さい」


美波ちゃんの全てで拒否をされる。


「わからないんですか?本当に幸せな人ですね・・・」


その中には、あざけりの感情が入っていた。


なんだかよくわからないけれど、美波ちゃんにどうしてこんなことまで言われているんだろう、私。

なんか、私の方がキレたい。


「美波ちゃん、とりあえず話して。美波ちゃんがそこまで言うからには、きっと私は何かやってるんだよね」

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