コイアイ〜幸せ〜
「無意識に美波ちゃんを傷付けていたんなら謝るよ、もしかしたら勘違いがあるかもしれないし、悪い事は気をつけることだってできるから」



私は彼女を、大切な仕事仲間だと思っているし嫌いな人でもない。


だからこそ、知りたいんだ。

なんでそんなに思い詰めてしまったのかを。



・・・。


店内には、軽やかな音楽が流れている。

扉越しに、お客さんの笑い声も聞こえてくる。


ただ、この空間だけが異様に静かなんだ。



いつか誰かが入ってくるかもしれないのに、いつまでこの静けさは続くんだろう・・・。



私は、こんな彼女を初めて見た。



・・・。




美波ちゃんはゆっくりと私の方に振り向くと、鏡越しではなく、私の視線に合わせてくる。





そこには、あのふんわりとした面影は無く、一人の女がたたずんでいた。
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