コイアイ〜幸せ〜
ズルズルとしゃがみこむつららさんに近づくと、両脇に手を入れて立ち上がらせた。


「汚れるって言っただろ」


酔って力が抜けているわけではなさそうだ。


「宗助も、私の事が憎い?実は嫌いとか」


も、もってなんだよ。
珍しくネガティブな事を言っているな。

あの男か市田に、なにかを言われたのか・・・?


「言われないとわからない事もあるんだよね・・・」


立ち上がったつららさんは、今度はうつ向いていた。


「なにがあったんだ?」


できれば、俺に話して欲しい。


「美波ちゃんに憎いって言われたの・・・、彼女もいろいろ思うことがあったみたい。私、無意識に傷つけていたのかな、知らないうちに、宗助も傷つけているのかな・・・、そんな事を考えてたら、なんかね、ここから動けなくなっちゃって」


あー、そういえば、市田はあの男がいいんだっけか。

よくわからんが、市田怖えぇもんな。可愛い顔して、結構ズバズバ言うからな・・・。


まあ、何を考えているかわからないアイツがつららさんにちょっかいをかけているのは気に入らない。


繋がれていた手を見た時、たしかに俺は嫉妬していたんだ。
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