コイアイ〜幸せ〜
「そんなにセクハラをしたいなら私以外でお願いします。でも、沢山の女の子を泣かさないで下さい」


―――あの日の美波ちゃんのように。


「俺は、山下さんに興味があるのに?」


そんな興味はゴメンです。

けれど、ただのコミュニケーションでしかないこの過剰な触れ合いに、慣れてきている自分がいる。




環境って怖いな。




「会議が終わりましたら、紅茶をいれさせていただきますから。そうゆう行為は、好きな人として下さいね」


何故モテる独身男、しかも年上の上司にこんなことを言っているんだろう。


この人にとっての恋愛観は、一体どうなっているんだろうな。


「別に答えなくても構いませんけど、松本さんって好きな人とか、結婚したい人っていなかったんですか。」


浮いた話がありまくるだけに、ただ純粋に聞いてみたいと思った。


「・・・そんな人はいませんでしたよ」


うん、なんとなくそう言うと思った。
彼は、本気の恋をしていなそうだから。
なんて、心の中ではかなり失礼な事を思ってしまう。


「そんなことを聞くなんて、山下さんは俺に興味が出てきたのですか」


壮絶な色気を持つ瞳で見つめられてしまった。
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