コイアイ〜幸せ〜
そう言って、さっきまでと変わらない笑顔で私の手を引っ張ってくれる。


その手は、今までのどんな男の手より暖かくて、優しい気がした。







車の中で潤む瞳を必死に堪えてメイクをする。


「なんだ、化粧しちまうのか、もったいねぇな」


そんな私の姿を横目で見ながら、宗助は悪戯っぽく笑った。


そう思うのは宗助だけだからっ。

普通は、嫌がるもんなの、私も無防備な姿をさらしているみたいで嫌なんだから!


「会社の人には見られたくないの。化粧をしていないと仕事モードのスイッチが入らないんだから」


私は、真剣な顔で鏡と格闘しているのに。
不安定だから化粧しにくいんだってば。



「確かにあのエロい顔は、他の奴らには見せたくねぇな」



一瞬だけ、私は手を止めた。


だから、なんでそういう恥ずかしい事を言えちゃうのかな、この男は。



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