コイアイ〜幸せ〜
「足跡がつかないように、わざわざ不正にアクセスするなんて、ハッキングの知識がなければ出来ないわよね」


私は社員の一人に聞いてみた。


「そうですね。でも、我々も情報のプロですから、必ず突き止めてみせますよ」


そう言って、彼らは執務室から出て行った。


残されたのは、宗助を含む4人。


「目的がわからないよな」


宗助が軽く首を捻る。


「普通なら、身元がばれる前に他社へ情報を流すか、ネット上にばら蒔きつつマスコミの非難を煽って信用を落とすか、何らかのアクションを起こしたっていいはずだよな」


私もそう思うよ。


「どちらにしても時間の問題かもしれませんね。目的がわからない以上、持ち出した人間は何をするかわかりません。ことがおおやけになる前に早見チーフと新堂は、彼らの手伝いをお願いします。山下さんは、ここ数日の監視モニターの録画をチェックして下さい。この作業をしている社員とは交代です。解析にさける人員は、一人でも多い方がいいですから」


松本さんは、テキパキと指示を出す。

そうか、私なら情報処理の人よりも、会社に出入りする人や他の社員を覚えているからね。
私にしか出来ない仕事をしよう。
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